中国あるある

中国での20年間は、驚きの毎日でした

乗っていたタクシーに別の客が

中国のタクシーは値段が安いので、電車代わりによく使います。特に地下鉄があまり普及していなかった頃は、日常の足として便利に使っていました。値段はちょうど日本の電車代と同じくらいです。

まあ中国のタクシーに関してはいろいろ言いたいことが山のようにあるのですが、今日はその中で、相乗りの件について書きたいと思います。

最初の頃は、相乗りタクシーに遭遇したことがしばらくありませんでした。
頻度が少ないからなのか、誰からも聞かされていなかったので、最初にそれに遭遇した時には、さすがにびっくりしました。
最初は普通にタクシーに乗っていました。何の変哲もないごく普通のタクシーでした。目的地に向かって走っている途中、中年の女性が私が乗っているタクシーに対して手を挙げたのです。最初は乗車中の表示が見えないのかなと思いました。しかし、私の乗ったタクシーはその女性の横で停まったのです。そして、前のドアを開けて、助手席に乗り込みました。
あれれ・・・?
何がどうなっているの全くかわかりませんでした。プチパニックに陥っていました。当時は中国語もあまり上手くしゃべれないため、状況を聞くこともできません。運転手の家族か知り合いなのかな?とも思いました。しばらくして、私の目的地に着く前にタクシーが停まって、女性が降りました。そのとき女性は運転手と会話して10元を渡していました。頭の中には「?マーク」がずっと浮かんだま、私は目的地に着き、メーター表示通りの金額を払って、領収書を受取り、タクシーを降りました。
頭の中のモヤモヤは晴れないままです。
翌日会社の中国人に聞いてみたら、「あっ、それ相乗りだよ」と教えてくれました。運転手によるみたいですが、時々あるそうです。

 

次に経験したのは、2~3カ月後でした。
空車のマークがはっきりわかるので、そのタクシーの前で手を上げたら停まってくれました。後ろのドアを開けて乗ったら、助手席におじさんが乗っていました。私が行先を告げると、運転手は黙って発車しました。
助手席のおじさんは運転手の友達なのかなとか思いながらメーターを見るとすでに動いていたのです。あれ~っ?、空車の表示がされているままなのに、メーターは動いているのです。その時初めて知りました。メーターと空車表示は連動していないのです。
今回は私が先に降りるようです。運転手が料金を口頭で言いました。近い距離だったので10元でいいそうです。しかし領収書はくれませんでした。おじさんは乗ったままでした。

タクシードライバーは日頃の勘と経験で料金を推定してそれぞれの客に請求していました。私の経験上は、必ずタクシー運転手が儲かるような値段を請求され、乗客のメリットは少なかったと記憶しています。

さらに領収書は1人の乗客にしか発行できません。
中国でのタクシーの領収書はいろんな面で重要です。日本のように会社で領収書決済する場合は同じなのですが、それ以外に車内に忘れ物をした場合や、運転手が遠回りをした場合にクレームをいれるだとか・・・いろんな場面で領収書があってよかったと思うことがあります。しかし、相乗りの場合は領収書がもらえないことがあります。

また、客の組み合わせによっては多少遠回りすることもあります。その場合も、運転手の勘と経験でそれぞれの客の料金を決めるのです。過去の経験上、この料金に文句を言った客は見たことありません。
しかし、遠回りした場合は時間が無駄に使われることになります。さらに大きいのは、タクシーの中でプライベートな空間を維持できるというのもその料金価値の中に含まれると思うのです。ところがおおらかな中国人はそんな細かいことは気にしません。もちろんどうしても相乗りが気にいらない場合は断ればいいのです。しかし、だいたいが混んでいてタクシーがなかなか拾えない場合に相乗りが発生しやすいので、うまく市場原理をつかったシステムなのかもしれません。

 

そして、なんと「相乗り用のタクシーメーター」が開発されたのです。

異なる乗客が同乗して、異なる場所から、異なる目的地に行く場合でも同じ1台のメーターを使用します。

黒龍江龍運現代輸送有限公司は1500台のタクシーに搭載して実用しているそうです。

以前とは異なり、利用客はメーターを見れば、自分はどこからどこまで乗って料金がいくらか明確に理解できます。

同時に3枚の異なる領収書を発行することもできます。 新しいメーターには、合計と個別両方の価格設定機能があります。 
 新しいメーターを使用すると、最初の乗客だけでなく、2番目と 3番目の乗客にも領収書を発行できるのです。

以前はドライバーの勘と経験で料金は決まっていましたが、このメーターは、非常に正確に料金と距離を計算することができ、領収書や払い戻しも非常に便利です。

新しいメーターは、計算だけではなく、GPS-NAVIを利用して渋滞情報も加味した最短ルート表示、実走経路記録、タクシー会社からのリモート管理など、多くのハイテク機能を備えています。
リアルタイムポジショニングや走行軌跡再生機能により、乗客の遺失物検索、迂回、その他の苦情処理効率が向上したと評判のようです。

相乗り文化を維持継続するために、新しいハイテク機能が実施されるようになったのですね。

すでにDiDiでは相乗りが普通に行われていたし、タクシーで導入されるのは遅すぎた感もあります。

 

しかし、私は、やっぱりタクシーではプライベート空間を大事にしたい派です。
どうも相乗り文化には慣れたくないです。