中国あるある

中国での20年間は、驚きの毎日でした

監視カメラ頼りの交通違反

中国では都市にもよりますが、交通違反の取り締まりを民間企業に委託しています。といっても、公安とはズブズブなので、民間なんだか国営なんだか微妙です。

この会社は、いろんな道路や交差点、横断歩道などにたくさんの監視カメラを設置してます。そもそも中国には、どこもかしこも監視カメラだらけなので、どのカメラがこの会社のものかよくわからない面もありますが、だいたい道路関連は交通違反取締用です。

ネズミ捕りのような面倒くさい取り締まりはあまりやりませんが、監視カメラによる交通違反は頻繁に綿密にチェックされます。

公安から委託されたこの会社は、交通違反を摘発することで、その運転手に科せられる罰金の半分を公安からいただくことができるのです。

残り半分が公安の罰金収入になります。

委託会社は、違反を摘発すればするほど、自社の収入が増えるので、監視カメラをそこいらじゅうに設置しまくって、血眼になって違反車両を見つけ出します。ちなみにこのカメラの設置費用・維持運営費用など、すべて委託会社の経費になります。

ということは、中国の公安は日本の警察と違って、全く何もしなくても、交通違反の罰金収入をガッツリいただけるという図式です。

委託会社は監視カメラから送られてくる画像を見て、違反車両を見つけると、その車のナンバーから持ち主に連絡が行きます。違反情報はスマホへ送られてきます。車を持っている人は自分の車の違反状況がいつでもわかるようになっています。いつ、どこで、どんな違反をして、罰金がいくらで、点数が何点引かれたとか・・・

そして年に一回、まとめて罰金を支払うのです。

もちろん不服を申し立てることもできますが、画像記録が残っているのでほぼほぼ受け入れられませんし、みなさん最初からそんな無駄な努力はしません。

 

ちなみに運転していたのが誰かは問題ではなく、違反した車の持ち主に責任が発生します。車の持ち主は車1台に3人まで運転手を登録でき、点数が引かれるのは、その3人のうちから車の持ち主が任意で決めます。以前は、よくこの点数がネットで売り買いされていました(1点=200元とか)が、今はできないように変更されました。

 

よくひっかかるのは、停止線オーバーや車線違反です。例えば、交差点直前の直線レーンから右折レーンに無理やり車線変更したり、左折レーンを直進したりしたら、一発です。

その理由は、画像を見て一番わかりやすいからです。

交差点に近づいて、自分の進みたい車線と違っていたら、絶対に車線変更をしないことです。

他に多いのは、信号無視や、横断歩道での歩行者妨害などです。

そのおかげで、カメラが設置されている横断歩道では、車が日本以上に親切に止まってくれます。逆に明らかにカメラが設定されていないとわかると、いつもの中国式運転マナーに変貌します。

今は人手で画像を見ながら摘発を行なっていますが、一部にはAI化も進めているという話もあります。運転している人間の顔も自動認識して、ビッグデータからどこの誰かまで割り出すことができるようになります。

そうなるとますます人手をかけずに大量に交通違反を摘発できるようになります。

こんな取り締まり方法は、日本では問題になるでしょうが、中国では権力のもと、ちゃんと交通ルールにのっとって取り締まりしているわけで、文句のつけようがありません。

 

最近は、不動産開発での地方政府の収入が激減しています。そんな中で、地方政府が頼りにするのが罰金収入です。今後もあの手この手でいろんな罰金が生まれてくるのではないかと・・・